【オカルト】不動産屋だけど事故物件の怖い話する2
引用元: ・不動産屋だけど事故物件の怖い話する
1.墓地がどこだか分かりません
「買取して欲しい土地があるんですけど」
事務所にそんな連絡があったらしい。
地価もそれなりに高い所でおまけに700坪。
大規模分譲出来るやんけ!と大喜びしてまずは現地でアポイントを取ることに。
2日後にお客さんの自宅で会うためにまずは謄本、公図、測量図を法務局のデータベースで取得。
一筆の土地じゃなくて複数の土地が集合しているような感じだった。
公図は旧土地台帳付属地図、いわゆる字限図ってやつで、まあ簡単に言うと土地の並びや大きさが明治時代の測量を元に作成されたものだから現況の参考に出来ないって代物だった。
未だに多いっていうか、意外と珍しくないんだよねコレ。
他は全部依頼者が登記名義人になってるんだけど、そこだけが違う。
所有者「○○町第10地区会」
ほえー、なんじゃこりゃ。
地目「墓地」
へ?
面積「6㎡」
ちっちゃ。
甲区には受付年月日が昭和半ばになっている。
国土地理院の上空写真データを閲覧したけど、おおよそ墓地だの記念碑だのの類は見つからない。
私有地の一角を墓地利用してて後から墓地登録に切り替えたけど
後々利用者不在になって詳細がどっかに行っちゃう奴w
お、詳しいねw
今回のもそういう話ですたい
ただ、これ面倒な話で、一角なら良かったんだけど肝腎要の土地のちょうど中央にニキビみたいな土地がある奴でかなり苦労したんだな
「どうもー。はじめましてー。○○不動産の鈴木と申します。この度は弊社にお問い合わせ下さいましてありがとうございました」
現所有者は相続したばかりの60代くらいの女性。
ちょうど売地のすぐ近くに家があって、高齢の父とつい最近まで一緒に住んでいたらしい。
「あら、鈴木さん、お若いのに主任さんなのね。宅建も持ってらっしゃるようで」
「そんなそんな若いだなんて。ちなみに何歳に見えます?」
とかそんな雑談をしばらくしながら早速本題へ。
詳しいと言うか実家が近隣地主の相続絡みで少しややこしい事になった事が有って
解決後に土地絡みの面白話をググった事が有るだけさ
こればっかりは人に聞かないと分からん。
とりあえずそこで事務的な調査は終了。
2日後、依頼者に会いに行く。
心霊番組とかめっきり減ったけど
と言いながら公図と住宅地図を確認してもらう。
「はい、これで間違いないですよ」
「ありがとうございます。それで少し気になったことがあるので、実際現地に立ち入らせて頂くことは可能ですか?」
所有者は快く承諾。
それどころか一緒に見たいとまで言ってきた。
どうも気に入って貰えたらしい。
現地まではすぐなので2人で歩くことに。
ここら辺は静かだけど、頭のいい人が集まる学区だから人気はある。
元々お城が建っていた高台だった。
そういう訳で住んでいる人も、特に昔から住んでいる人は武家特有の気品がある。
うんうん、そうですよねーと相槌を打ってる間に現地到着。
そこだけが全くの手付かずで、一部が砂利、一部が草地と人気のある住宅地としては珍しい場所だった。
700坪のうち100坪が砂利道で、当然その砂利道も今回の依頼人が所有している。
道を進んだ先に600坪の大きな広場があるといった形になっていた。
不動産屋の意見だけど方法はない、マジで
ただもし自分なら神社の近くだったり、神様の通り道と呼ばれている所で家は買わないようにする
事故物件なんかよりそっちの方がよっぽど不幸に遭ってる人多いはず
自治会長さんとお会いする予定だったんだが、当日は何故か付近のお寺の住職さんも同席していた。
簡単に挨拶をすませて話を聞く。
「今回は本当にありがとうございます。それで早速なんですがこの墓地の件で詳しくお話を伺いたいと思いまして」
悲しいことにこういう調査で協力的な人は珍しい。
まあお金にならないし、不動産屋なんて積極的に会いたい人種じゃないからね。
ただ、今回は自治会長さんも住職さんも快くお話してくれた。
あー神社の目の前とか?
拉致が開かないので早速聞いてみることに。
「この広場のどこかに墓地か石碑があったはずなんですがご存知ですか?」
所有者曰く、父親から話を聞いたことはあるが詳しいことは分からないらしい。
自分が生まれた頃には既にそうした物は無かったとのこと。
ただしその土地の自治会長さんが詳しいようで、後で話をしておくとのこと。
とりあえずその日はそれで終了。
後日自治会長さんのご自宅に伺って話を聞くことになった。
•登記名義人は確かに自治会ということになっているが、実質的な管理はお寺に任せてある
•自治会から土地の処分や活用に関してはお寺さんに任せるという覚書もある
•どうせそんなに大きい土地でもないからお金については期待していない
•今回の売買には協力する
とのことだった。
お二人とも人と話すのが好きなようで、その後しばらく雑談が続く。
結婚してる?いえ、まだですとかそんな話。
「話が戻ってしまうんですけど、このお土地って元々何があったんですか?墓地か記念碑か、ちょっと気になりまして」
そう聞くと自治会長さんから
「あの辺り一帯、実は刑場だったんだよ。明治の始めか江戸の終わりか、その辺りまで斬首刑で使われていた土地だったんだ。小さい土地だろ?供養塔があったらしいけど、今はこちらのお寺さんに管理して貰ってるんだわ」
ほえー、なにそれ。
住職さんが補足。
「うちでもざっくりとした資料しかないんですが、自治会長さんが言ってた通りで間違いありません。今はこちらの敷地に供養塔ごとお引越しをしてもらいました。先代の頃にそうした話になったようです」
モデルハウスとしてウチの建売を2棟ほど建てて、他は建築条件付きで売り出す的な。
一年くらい時間は掛かったけど無事買取は成立。
早速建売の建築が始まった。
当たり前。
元々人気のエリア。物件はすぐに売れていった。
あっという間に入居者で埋まっていき、そこはすぐに完売。
曰く付きの物件だけど特段なんのトラブルもなく、俺はちょうど引越しの挨拶廻りをしていた。
入居してからしばらく経つけど、その後どうですかーっていう感じ。
どのご家庭も皆んな幸せそうだったが共通して「気になることがあるんだけど」と話始めた。
「まあ中にはそういう人もいるのかなーって思ったんだけど、仕方ないのかなーって。すごく短い歌だし、あんまり気にしないようにしてます」
不思議なことに、どのご家庭もこれを言う。
ってことは、この分譲地の一体誰が歌っているんだろう。
もしかしてだけど、首を斬られた人の中に歌が大好きだった人もいた、そういうことなんだろうか。
いつも通りオチはないんだけどこの話はこれでお終い。
残ってなきゃ・・・
不思議なことってあるんだと思った